大地震が発生して電車・地下鉄が止まった時、「今すぐ帰るべきか、会社に泊まるべきか」という判断は、東日本大震災以降も多くの帰宅困難者が直面してきた問いです。2011年3月11日には、首都圏で約515万人が帰宅困難状態になったと推計されています(内閣府調査)。そのほとんどが、情報不足・判断基準がない中で行動しました。この記事では、地震発生後の「帰る・泊まる」判断の基準と、どちらを選んだ場合の行動手順を解説します。
まず「3つのNG」を確認する: ①徒歩3時間超の場合は体力・安全上のリスクが高い②余震・津波・火災警報が継続している場合は移動しない③家族の安否確認が取れていない場合は移動を急ぐのは逆効果になりやすい。上記に該当しない場合のみ「帰る」を選択する。判断が難しい場合は「その場で待機」が合理的な選択です。
「帰る」か「泊まる」かの判断基準
以下のフローで判断してください。
まず確認すること(移動しない方が良い状況)
- 余震・津波警報・火災が継続している → 移動しない
- 徒歩距離が10km超(一般的に2〜3時間超の歩行) → 無理に帰らない
- 高齢・妊婦・持病持ちなど体力的に厳しい → 待機を優先
- 夜間(日没後の移動は危険) → 翌朝まで待機
「帰る」を選ぶ条件
- 徒歩で帰れる距離(概ね5〜7km以内、1〜2時間程度)
- 余震が収まっている
- 昼間で明るい
- 家族・ペットが自宅にいて安否確認が必要な場合
「泊まる(待機)」を選ぶ条件
- 職場に泊まれる環境がある(備蓄・仮眠スペース)
- 自宅まで遠い・移動リスクが高い
- 家族が自宅にいない・安全が確認できている
東京都・首都圏では「帰宅困難者は無理に帰宅しない」を原則とし、徒歩帰宅を翌日以降に判断することを推奨しています。
徒歩帰宅を選ぶ場合の安全な歩き方
やむを得ず徒歩帰宅を選ぶ場合は、以下の点に注意してください。
ルート選定
- 幹線道路(避難路)を歩く: 緊急車両の通行・支援拠点(一時滞在施設)が設置されやすい
- 高架・橋・地下道を可能な限り避ける: 余震による落下・浸水リスクがある
- 河川沿いは避ける(津波・越水の警報が出ている場合)
移動時の持ち物
- 水・チョコレートや飴などのカロリー補給食品
- 充電済みのモバイルバッテリー(スマートフォン用)
- 歩きやすい靴: ハイヒール・革靴での長距離歩行は怪我のリスクがある。スニーカーに替えるか折り畳みスニーカーを携帯する
- スカーフ・マスク(粉じん対策)
会社での備えとして設置しておくべき帰宅困難時グッズについては → オフィスの防災備蓄をご覧ください。また企業向けの職場備蓄・帰宅困難者対策の制度については → 職場の帰宅困難者対策をご覧ください。
会社で一夜を過ごすための最低限の準備
会社待機を選んだ場合、以下があると過ごしやすくなります。普段から「オフィスの引き出しに入れておく」スタイルが有効です。
| 品目 | 理由 |
|---|---|
| 水(500mL〜1L) | 自販機・コンビニは早期に売り切れる |
| 非常食(バー・菓子類) | 翌朝まで体力維持 |
| モバイルバッテリー(充電済み) | 帰宅ルート確認・家族への連絡 |
| スニーカー | 翌日の徒歩帰宅に備える |
| ラジオ(乾電池式) | インターネットが不通時の情報収集 |
| 常備薬 | 1〜2日分を常時携帯 |
※上記は独自調査によるまとめです。
家族への連絡手段と事前の取り決め
大規模地震発生後は、通常の電話回線・SNSが集中し繋がりにくくなります。事前に複数の連絡手段を取り決めておくことが重要です。
- 災害用伝言ダイヤル(171): 電話回線が繋がらない場合でも利用可能。自宅電話番号宛に録音・再生できます → 災害用伝言ダイヤルの使い方
- 集合場所の事前決定: 「帰れない場合は翌日◯時に◯◯公園に集合」などを家族で事前に決めておく
- LINE・SMS(文字メッセージ): 音声通話が繋がらない時でも文字メッセージが届く場合がある
家族の連絡手段・集合場所をまとめて記録するには → 家族の防災プランを作る
👨👩👧 家族の集合場所・連絡手順を事前に記録する
「帰れない場合の取り決め」を今のうちに家族で確認しておきましょう。 → 家族の防災プランを作る
翌朝以降の行動判断
会社で一夜を過ごした翌日は、以下の情報を確認してから帰宅を判断してください。
- ラジオ・テレビ・NHKニュースで余震・被害状況を確認する
- 交通機関の運転再開情報: 鉄道各社はウェブサイト・SNSで運行情報を更新する
- 自宅周辺の被害・火災情報: 消防・警察のSNS・Xアカウントが有用
- 家族の安否確認が取れない場合は、移動より先にもう一度連絡手段を試みる
出張中の帰宅困難対策については → 出張・旅行中の防災対策もご覧ください。
よくある質問
徒歩帰宅の距離の目安はどれくらいですか?
一般的に、体力・天候が通常の場合の歩行速度は3〜4km/hです。10kmは2.5〜3時間程度かかる計算になります。地震後は道路状況・混雑・瓦礫などで速度が落ちるため、10kmを歩ける状態でも3〜4時間以上かかることを想定してください。15km以上は1日での徒歩帰宅が厳しい距離です。
職場が高層ビルの場合、泊まることはできますか?
大規模な高層ビルは耐震設計されており、余震でも即座に危険になる可能性は低いですが、エレベーターは地震後に点検完了まで使用停止になります。水・食料がある場合は一定の安全性があります。ビルの管理者の指示に従ってください。
「帰宅困難者」として行政の支援を受けられますか?
東京都など首都圏の自治体では、大規模地震発生時に「一時滞在施設」(コンビニ・デパート・公共施設など)を開放する取り組みがあります。幹線道路沿いに掲示されることがあります。ただし収容数に限りがあるため、職場待機が可能な場合は職場にとどまることが優先されます。
子供が学校にいる時に地震が起きた場合はどうしますか?
学校は通常、地震発生後は親が迎えに来るまで子供を学校に留め置く「引き渡し」方式を取ります。事前に「引き渡しに行けない場合は誰が行くか」「迎えが来られない時間帯の対応」を学校と確認しておいてください。引き渡し計画については → 学校の子供引き渡し計画と家族の集合ルールをご覧ください。
まとめ: 今日からできる3つのアクション
※ 本記事はAmazonアソシエイトのリンクを含みません。職場備蓄商品については関連記事をご覧ください。
参考にした情報源: 内閣府「帰宅困難者対策の手引き」(東日本大震災を踏まえた対策)、東京都「帰宅困難者対策条例」、国土交通省「大規模地震発生時における帰宅困難者対策ガイドライン」
お住まいの地域によって、想定される災害や必要な備えは異なります。都道府県・市区町村別の防災情報を確認してみましょう。
地域別の防災情報を確認する →この記事について
この記事を書いた人: 備えガイド運営事務局
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