「購入後にハザードマップを見たら浸水想定区域だった」という後悔を防ぐために、物件探しの段階でハザードマップを確認する人が増えています。国土交通省の2020年宅建業法改正により、不動産会社はハザードマップを示した説明が義務付けられました。それでも「どこを見ればいいか分からない」という声は多く、確認方法を知らないまま購入してしまうと、高い保険料や将来の売却時のリスクにもつながります。
住宅購入前に確認すべきハザードマップは①洪水②土砂③高潮④液状化の4種類。国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で一括確認できます。リスクが高い地域でも保険と構造選択で対応できますが、まずリスクを数字で把握することが先決。不動産会社の重要事項説明書でも確認が義務化されています。
住宅購入前にハザードマップを確認すべき3つの理由
ハザードマップは「念のため」ではなく、具体的な判断に直結します。
- ①購入後の保険料に直結する: 浸水リスクが高い地域の物件は、火災保険の水災補償料が高くなります。浸水想定区域に含まれると年間保険料が数万円単位で変わることもあります。
- ②将来の売却価格・住宅ローン審査に影響する: 浸水・土砂リスクが高い地域の物件は、将来の売却時に買い手がつきにくいケースが増えています。住宅ローンの審査でも考慮される場合があります。
- ③実際の被害リスクを事前に数値で把握できる: ハザードマップは過去の地形・水害歴・河川の流量データに基づいて作られています。「地形は変わらない」という点で、リスクの最も信頼性の高い指標です。
🗺️ 今すぐ確認できます
お住まいや購入を検討している住所を入力するだけで、浸水・土砂・液状化リスクを確認できます。 → sonae-guideのハザード確認ツール
確認すべき4種類のハザードマップ
「ハザードマップ」という言葉は一種類の地図ではなく、災害の種類ごとに別々に存在します。住宅購入前には次の4種類を確認することを推奨します。
| ハザードマップの種類 | 示す内容 | 確認が特に重要な物件 |
|---|---|---|
| ①洪水ハザードマップ | 河川の氾濫による浸水深・浸水範囲 | 川沿い・低地・扇状地・水田跡地 |
| ②土砂災害ハザードマップ | 土砂崩れ・急傾斜地崩壊の危険区域 | 山裾・がけ下・急傾斜地近く |
| ③高潮ハザードマップ | 台風時の高潮による浸水範囲 | 海岸線から数km以内・河口付近 |
| ④液状化危険度マップ | 地震時の地盤液状化リスク | 埋立地・旧水田・旧河道・海岸近く |
※上記は独自調査によるまとめです。確認は国土交通省ハザードマップポータルサイトまたは各自治体の公式サイトで。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、これらの地図を住所ベースで一括確認できます。「重ねるハザードマップ」機能を使えば複数のリスクを1枚の地図上で確認できます。
ハザードマップの数字の読み方
ハザードマップを見たときに困惑しがちな「色分け」と「浸水深の数字」について整理します。
浸水深の色分けの意味
- 0.5m未満: 床下浸水レベル。大人が歩行可能だが家財被害が出る
- 0.5〜1m: 床上浸水。1階の床が水につかる状態
- 1〜2m: 1階が水没。避難が困難になるレベル
- 2〜3m: 1階の天井付近まで水没
- 3〜5m: 2階部分まで浸水
- 5m以上: 2階全体が水没するレベル
「想定最大規模」と「計画規模」の2種類が表示される場合があります。想定最大規模は「過去最大クラスの降水が発生した場合」の想定値で、より厳しい条件でのリスクを示しています。住宅購入の判断では想定最大規模の方を参考にすることを推奨します。
ハザードマップ以外に確認すべき地形情報
ハザードマップは最も重要な資料ですが、それだけで全てのリスクを網羅できるわけではありません。内見前・契約前に合わせて確認したい情報源を挙げます。
- 国土地理院の地形分類: 「地形分類図」でその土地が昔、何だった(水田・川・海岸など)かを確認できます。地名に「沼」「池」「谷」「浜」が含まれる地区は要注意です。
- 地盤サポートマップ(地盤ネット): 地盤の固さのデータが無料で確認できます。軟弱地盤は地震の揺れが増幅されやすい傾向があります。
- 自治体の過去の浸水記録: 市区町村のウェブサイトに過去の浸水・被害記録が掲載されていることがあります。
- 現地確認: 内見時に周辺の用水路・排水路の位置・高低差・近隣建物の1階の高さを確認します。古い建物の外壁に水位の痕跡が残っていることもあります。
リスクを把握した上での物件選択と保険の考え方
ハザードマップでリスクが高く出た地域だからといって、必ずしも住めない・買えないわけではありません。リスクを知った上で対策を取ることが重要です。
- 浸水リスク高い地域の場合: 高基礎(GL+1m以上)・ピロティ構造・防水板設置などで実際の被害リスクを減らせることがあります。火災保険の水災補償は必須で加入します。
- 土砂リスク高い地域の場合: 都道府県が指定する「土砂災害特別警戒区域」(レッドゾーン)の物件は建築規制があります。ハザードマップのイエローゾーンは警戒区域で建築制限なし。
- 価格とリスクのトレードオフ: リスクが高い地域は物件価格が低めの傾向があります。保険・修繕コストを含めたトータルコストで比較することが現実的です。
引越し先を選ぶときも同じ確認を
住宅購入に限らず、賃貸の引越し先を選ぶときにも同じ確認が有効です。賃貸でも1階・地下は浸水リスクがあり、避難経路の確保という点で確認の重要性は変わりません。引越し先のリスク確認については → 引越し先のハザードマップ確認ガイドもご参照ください。
よくある質問
不動産会社がハザードマップを見せてくれないのですが?
2020年の宅建業法改正により、不動産会社はハザードマップを示した説明が義務化されています。買主・借主から求めがなくても説明する義務があります。見せてもらえない場合は自分で国土交通省のポータルサイトで確認した上で、不動産会社に確認状況を伝えることをお勧めします。
ハザードマップに載っていない地域は安全ですか?
ハザードマップは主要な河川・土砂リスクを対象としており、全てのリスクを網羅しているわけではありません。特に「内水氾濫」(排水能力の限界による冠水)はハザードマップに示されていないことが多く、都市部で局地的に発生しています。ハザードマップに記載がなくても安全とは断言できません。
浸水リスクが高くても多くの人が住んでいます。大丈夫ですか?
堤防や排水設備の整備で実際のリスクが低減されているケースが多くあります。一方、「想定外」の気象現象が起きたときには設備の前提が崩れるリスクがあります。リスクを知った上で判断し、保険・備蓄・避難計画とセットで考えることが重要です。
ハザードマップの「想定最大規模」はどれくらい珍しい規模ですか?
国土交通省の基準では、100〜1000年に一度程度の降水量を想定した規模とされています。「滅多に起きない」ように見えますが、気候変動の影響で大雨の頻度・強度は増加傾向にあり、過去の水準での判断は慎重を要します。
ハザードマップは定期的に更新されますか?
気候変動や改定された降水量データに基づき数年ごとに更新されます。最新版が反映されているかを定期的に確認することをお勧めします。特に河川改修工事が行われた地域や近隣で大規模開発があった場合は、リスク評価が変わることがあります。
まとめ: 今すぐできる3つのアクション
住所を入れるだけで洪水・土砂・高潮・液状化の4種類のリスクを確認できます。物件を内見する前に確認しておきましょう。 → ハザード確認ツール
ハザードマップで確認したリスクを現地の地形と照らし合わせることで、より具体的なイメージが持てます。周辺の建物の高さや排水設備の有無も確認ポイントです。
不動産売買・賃貸の重要事項説明書にハザードマップに関する説明が含まれているか確認します。記載がない場合は担当者に確認を求めてください。
📍 お住まいの地域の防災情報をまとめて確認
都道府県・市区町村別の防災情報、避難場所・避難所のデータも確認できます。 → 都道府県別防災情報
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参考にした情報源
- 国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
- 国土地理院「地形分類図」
- 国土交通省「不動産取引時のハザードマップに関する説明の義務化」(2020年)
- 気象庁「気候変動に関する情報」
この記事について
この記事を書いた人: 備えガイド運営事務局
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