最終更新日: 2026年10月8日
地震対策というとトイレや食料の備蓄に目が向きがちですが、東京消防庁の調査では、地震で「けが」をした人のうち家具の転倒・落下・移動が原因となった割合は30〜50%にのぼるとされています。家具の固定は、備蓄品の用意と同じくらい優先度の高い対策です。
住まいの地震対策全般だけでなく、防災全体としてどこが手薄かを知りたい場合は、防災レベル診断で10問チェックしてみると次にやるべきことが見えてきます。
家具転倒は「けがの原因の3〜5割」を占める
東京消防庁の調査によると、近年発生した地震で「けが」をした人のうち、家具の転倒・落下・移動が原因となった割合は30〜50%を占めています。東京都の試算では、首都直下地震の際に都内で約54,500人が家具の転倒・落下によって負傷すると予測されています。また、平成30年の北海道胆振東部地震では、大規模停電で暗くなった室内を移動した際に転倒による負傷が発生したことも報告されており、家具の固定は停電時の二次被害を防ぐ意味でも重要とされています。
「突っ張り棒だけでは不十分」と言われる理由
天井の強度が足りないと効果が下がる
突っ張り棒(ポール式器具)は、天井に十分な強度がないと本来の効果を発揮できません。天井との隙間が広すぎたり、サイズが合わなかったりすると、地震の揺れで外れてしまうこともあります。東京消防庁のハンドブックでは、最も確実な固定方法は「L型金具による壁へのネジ止め」とされており、それが難しい場合の代替策として、突っ張り棒とストッパー式器具、または突っ張り棒と粘着マットを組み合わせる方法が紹介されています。突っ張り棒単体に頼らず、複数の対策を組み合わせることが重要です。地震そのものへの備えは地震に備えた家庭内の安全対策でも整理しています。
突っ張り棒の中にも性能差はあります。例えばメーカー品では、家具との圧着面積を広く取った「Wポール」構造で耐荷重約200kg、震度7クラスに相当する1000gal(ガル)の加振試験をクリアしている製品もあります。安価な製品を複数買うより、こうした加振試験のデータが公開されている製品を選ぶほうが、実際の地震での効果を見込みやすいといえます。
高層階ほどリスクが高い
東日本大震災では、家具類の転倒・落下・移動が高層階に行くほど多く発生する傾向が確認されたと東京消防庁が報告しています。これは、高層階では低層階より横揺れ(長周期地震動)の影響を受けやすいためと言われています。マンション高層階にお住まいの方は、家具の固定を特に優先度高く取り組む価値があります。
必要な器具の目安計算ツール
背の高い家具の数から、対策の目安を計算
窓ガラスの飛散対策も忘れずに
東京消防庁のハンドブックでは、家具の転倒・落下・移動防止対策と合わせて、窓ガラスの飛散防止フィルムの貼り付けも紹介されています。ガラス飛散防止フィルムはJIS A 5759(建築窓ガラス用フィルム)という日本工業規格があり、一般的な厚みは50ミクロン程度ですが、高さ190cm×幅90cm程度の大きな窓には70ミクロン以上が推奨されています。多くの製品は紫外線を99%カットする効果も兼ね備えています。家具の固定と窓ガラスの飛散対策は、どちらも「割れた・倒れたものでけがをしない」ための備えとして、セットで検討するのがおすすめです。
製品スペック比較(独自集計)
Amazon商品ページ等の公開情報をもとに、当サイトで価格・仕様を集計しました。
| 製品名 | 種別 | 内容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ 家具転倒防止伸縮棒 | 突っ張り棒 | 2〜4本セット | 伸縮幅30〜100cm、サイズ展開豊富 |
| セキスイ 家具転倒防止圧着Wポール Lサイズ | 突っ張り棒 | 1本 | 耐荷重約200kg、1000gal加振試験済み |
| リンテック ガラスメイト 防災フィルム50 | ガラス飛散防止フィルム | 92cm×185cm | 厚さ50μ、UVカット99%、JIS A 5759規格合格 |
| SOSOYOKI 耐震マット プレミアム | 粘着マット | 4枚入 | 1枚あたり耐荷重25kg(4枚で100kg以上)、水洗いで粘着力復活 |
| 家具転倒防止 ポール式(突っ張り棒) | ポール式 | 1,500円台〜 |
※価格・仕様は変動する場合があります。購入前に各ECサイトで最新情報をご確認ください。
こんな人は、まだ買わなくてもOK
- 水の備蓄がまだできていない
- 携帯トイレの備蓄がまだできていない
- 防災リュックの中身が整っていない
- 集合住宅で保管場所を確保しづらい
こんな人は検討していい
- 在宅避難を想定している
- 停電時も冷蔵庫を維持したい
- 医療機器など電源が必要な機器がある
おすすめ製品
ここからは、備えガイド編集部が公開情報をもとに選んだ商品です。編集部が実際に購入・使用したレビューではありません。
アイリスオーヤマ 家具転倒防止伸縮棒の購入者評価を見る(良い2・気になる1)
レビュー確認日: 2026年9月15日時点(複数のレビューサイト・購入者の声を基に当サイトで要約)
良いという声
- 公的機関の震度7相当の振動試験をクリアしており、実際に大地震でも倒れなかったという実績が評価されている
- 工具不要で取り付けられる手軽さが、高齢の家庭でも好評
気になるという声
- 取り付け角度や位置を誤ると効果が薄れるため、設置場所の高さをきちんと測る必要があるという指摘
セキスイ 家具転倒防止圧着Wポールの購入者評価を見る(良い2・気になる1)
レビュー確認日: 2026年9月15日時点(複数のレビューサイト・購入者の声を基に当サイトで要約)
良いという声
- 2点で支えるWポール構造で安定感が高く、地震後もズレなかったという声が多い
- しっかり固定できる分、締めすぎると天井の強度がかえって心配になるという評価もある
気になるという声
- ポール部分に着色シミのような跡が見られたという、品質面を気にする口コミもある
リンテック ガラスメイト 防災フィルム50の購入者評価を見る(良い2・気になる1)
レビュー確認日: 2026年9月15日時点(複数のレビューサイト・購入者の声を基に当サイトで要約)
良いという声
- ガラス破片の飛散を防げる安心感があり、UVカット効果も評価されている
- 必要な面積分をまとめて買っても価格が手頃だという声
気になるという声
- フィルムが薄めで、素人が貼ると気泡や気じわが入りやすいという指摘が多い
よくある質問
賃貸住宅でも家具を固定できますか?
壁に穴を開けるL型金具の設置は、賃貸では難しい場合があります。その場合は、突っ張り棒と粘着マット・ストッパー式器具の組み合わせなど、壁を傷つけない方法を選ぶとよいでしょう。退去時の原状回復についても事前に確認しておくと安心です。
ガラス飛散防止フィルムも必要ですか?
東京消防庁のハンドブックでは、家具転倒防止対策と合わせてガラス飛散防止フィルムの貼り付けも紹介されています。窓ガラスや食器棚のガラス部分に貼ることで、割れた際の飛散によるけがを防ぐ効果が期待できます。
テレビや冷蔵庫も固定した方がよいですか?
はい。東京消防庁のハンドブックでは、テレビの転倒・落下・移動防止対策、冷蔵庫の転倒・移動防止対策も個別に紹介されています。粘着マットや専用の固定ベルトを使うことで対策できます。
電子レンジや洗濯機、ベッド周りの対策はどうすればよいですか?
東京消防庁の「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」には、電子レンジの落下・移動防止対策も個別に掲載されています。台の上に置いている場合は、粘着マットなどで台にも本体にも固定しておきましょう。ベッド周りは、そもそも「寝る場所」の近くにはなるべく家具を置かないことが基本で、どうしても置く場合は背の低い家具にする、あるいは倒れても頭部にかからない向きに置くといった工夫が推奨されています。
突っ張り棒はどのくらいの耐荷重を目安に選べばよいですか?
製品によって差がありますが、耐荷重約200kg・1000gal(震度7クラス相当)の加振試験をクリアしているモデルもあります。家具の重さ・高さに対して十分な耐荷重の製品を選び、あわせて下部の粘着マットやストッパーも併用すると、より安定した固定が期待できます。
ガラス飛散防止フィルムはどの窓に貼ればよいですか?
寝室・子ども部屋・リビングなど、長時間過ごす部屋の窓を優先するのが基本です。大きな窓ほど飛散防止フィルムの推奨厚みも増すため(目安として70μ以上)、窓のサイズを確認してから製品を選びましょう。賃貸住宅では、退去時の原状回復について事前に確認しておくと安心です。
まとめ:今日からできる3つのアクション
寝室や子ども部屋など、長時間過ごす場所にある背の高い家具から優先的に対策しましょう。
上の計算ツールを参考に、必要な器具をそろえて設置しましょう。
家具だけでなく、家電製品の転倒・移動防止対策も忘れずに行いましょう。
参考にした情報源
- 東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(令和6年1月発行)
- 東京都防災ホームページ「自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策」
- 港区「家具転倒防止器具等助成のご案内」
- セキスイ(積水樹脂)「家具転倒防止圧着Wポール」製品情報
- ALSOK研究所「窓ガラスの飛散防止フィルムとは」、リンテックコマース「ガラス飛散防止フィルム 防災フィルム50」製品情報(JIS A 5759規格)
- 各製品のAmazon商品ページ記載スペック(2026年8月〜9月時点、当サイトにて集計)
お住まいの地域によって、想定される災害や必要な備えは異なります。都道府県・市区町村別の防災情報を確認してみましょう。
地域別の防災情報を確認する →この記事について
この記事を書いた人: 備えガイド運営事務局
情報源: 気象庁・内閣府・消防庁・国土交通省・自治体などが公表している情報、および製品メーカー・販売元が公開している仕様情報をもとに作成しています。実数(公的データ・公式スペック)以外の統計・レビュー・体験談は創作していません。
商品情報について: 本ページの商品情報は、メーカー・販売元の公開情報や複数のレビューサイトの傾向をもとに、防災用途の観点から当サイトが整理したものです。編集部による実使用レビューではありません。
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8 thoughts on “家具の転倒防止対策|突っ張り棒だけでは不十分?”