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定年退職後の一人暮らしで避難できないとき、まず確かめたい名簿と個別避難計画

定年退職後の一人暮らしで避難できないとき、まず確かめたい名簿と個別避難計画

最終更新日: 2026年10月12日

避難・要配慮者(高齢者)

一人暮らしの高齢者が、避難の場面で「誰に知らせ、どこまで一人で動けるか」を先に決めておくための整理です

夜中に警報が鳴っても、一人暮らしだと「誰かが様子を見に来てくれるだろう」とは限りません。家族が遠方に住んでいる、近所付き合いが少ない、そもそも自分が避難の対象になっているか分からない。こうした状況で迷ってしまう人は少なくありません。定年退職で毎日の人間関係が変わった人は、なおさらこの迷いが生まれやすくなります。

結論: 定年退職後に一人で暮らすようになった人の避難は、まず市区町村の「避難行動要支援者名簿」に載っているかを確かめ、載っていなければ自分から相談することが出発点になります。退職で職場経由の連絡先や日々の声かけが減っているなら、緊急連絡先を家族・近所の人へ書き換えることも同じくらい大切です。そのうえで、夜でも両手を空けて動けるように、持ち物と連絡手段を一か所にまとめておくと判断がずっと速くなります。

まず確かめたいのは「名簿に載っているか」

災害対策基本法では、市区町村が高齢者や障害のある人など、災害時に支援が必要な人の名簿を作ることが定められています。これが避難行動要支援者名簿です。名簿には氏名や住所、連絡先、支援が必要な理由などが記載されます。

名簿の作成は市区町村の義務ですが、対象者の基準や把握方法は自治体によって異なります。対象になる基準も自治体ごとに違います。広島市の案内では要介護3以上や身体障害者手帳1・2級などを基準にしている一方、船橋市では在宅の人を対象とし、長期間施設や病院に入所・入院している人は外しています。元気な一人暮らしの人は、そもそも対象外に見えるケースもあります。

ここで見落としやすいのは、「対象外だから安心」とは限らないことです。基準に合わなくても、地域の見守りや個別の相談で支援を組み立てられる自治体もあります。自分が該当するかどうかを、住んでいる市区町村の防災担当課か高齢福祉の窓口に一度聞いておくと確実です。また、名簿に載っていても、それだけで避難支援が確実に受けられるわけではありません。

退職後は、この見えにくさがさらに大きくなることがあります。例えば、職場経由の連絡先や毎日の挨拶が減ったり、家族と離れて暮らしていたり、地域とのつながりが少なかったりすると、名簿に載っていても「誰が異変に気づくか」が分かりにくくなります。退職をきっかけに、勤務先の連絡先から自宅・家族・近所の人の連絡先へ緊急連絡先を書き換え、自治体窓口へ相談する際には、近隣や支援者とどう連絡を取るかも一緒に伝えてください。

名簿の情報は「本人の同意」が前提になりやすい

名簿の情報を、近所の自治会や民生委員、消防団などの避難支援者に渡すかどうかは、本人の同意に関わってきます。平常時に支援関係者へ提供する場合は、原則として本人の同意が必要です(自治体の条例による例外あり)。一方、災害発生時や発生のおそれがある場合は、生命・身体の保護に特に必要と認められれば、法律上、本人の同意なしで必要な範囲の情報を提供できます。

池田市の資料では、意思表示がない人は不同意として扱われ、同意した人は対象者全体の半分強だったという数字が示されています。平常時の情報共有に同意しない場合、地域の支援者が事前に情報を把握できないことがあります。提供先・情報の範囲・不同意の場合の扱いを窓口で確認しましょう。

浜松市のように、同意したうえで支援を希望する人が申請書を出す形の自治体もあります。日高市では介護認定や障害者手帳の申請時に同意したものとみなす運用を取っているなど、やり方は一つではありません。届いた書類の内容を家族と一緒に読み、分からない欄は窓口で聞いてから出すようにしてください。

個別避難計画は努力義務。だから自分から声をかける

避難に特別な支援が要る人については、誰がどの道順で、どこへ避難するかを決めておく個別避難計画があります。2021年の災害対策基本法の改正で、市区町村がこの計画を作ることは努力義務とされました。義務ではないため、進み具合は自治体によって差があります。

川崎市の資料では、計画の作り方を決める際に、地域の災害リスク、本人の心身の状態、独居などの居住実態を考慮するとされています。一人暮らしであること自体が、計画を優先して作る理由になりうるわけです。ケアマネジャーや福祉の専門職と一緒に作る自治体もあるので、介護サービスを使っている人は担当者に「避難のときはどうするか」を一度話しておくと、計画づくりにつながりやすくなります。

高齢者の見守りや避難の付き添いを表すイラスト

両手を空けて、一人で動ける準備を一か所にまとめる

避難のときに一人暮らしの人が困るのは、荷物を探している時間と、暗い中で足元が見えないことです。持ち物は「体に身につけるもの」「背負うもの」「家の中の一か所にまとめるもの」の三つに分けると、慌てても迷いにくくなります。

分類入れておきたいもの確かめること
身につけるお薬手帳の写し、保険証のコピー、連絡先のメモ首からかけても歩きやすいか
背負う常備薬、飲料水、携帯トイレ、軽い上着一人で持ち上げて、数分歩けるか
家の一か所手回しラジオ、懐中電灯、ヘッドライト、補聴器の電池玄関から手が届く場所にあるか
連絡家族・近所の人の電話番号、かかりつけ医の連絡先紙に書いて財布や玄関に入れてあるか

薬は、日数分をそろえておくことも大切ですが、一度に大量に持つと重くなります。処方の方法を医師や薬剤師に相談し、避難時に持ち出せる量を決めておく方法もあります。中身を決めるときの目安は、家族の防災プランで人数と日数を入れて確かめられます。

おすすめ製品

いずれも商品名で検索した結果ページへのリンクです。型番まで特定した商品ではないため、サイズや使い方は購入前にご確認ください。

首からかけて、薬の情報を一緒に持ち出す

防水のお薬手帳ケース(首かけ式)

雨の中でも薬の情報が濡れないように、防水のケースに入れておく方法です。首にかけられるタイプなら、両手を空けたまま移動できます。

夜道で両手が空くように

充電式のヘッドライト(防災用)

懐中電灯を持つと片手が塞がります。頭に付けるタイプなら、手すりをつかんだり荷物を持ったりしやすくなります。明るさの段階と、充電の残量表示があるかを確かめてください。

断水や避難所で、トイレに困らないために

携帯トイレ(凝固剤タイプ)

自宅のトイレが使えないとき、避難先で排泄の回数が増えることを想定しておくと安心です。一回あたりの使用数と、ごみの処理方法を自治体の案内で確かめておいてください。

電池が切れても情報を取れるように

手回し充電式の防災ラジオ(ライト付き)

停電で電池式のラジオが使えない夜でも、手回しで充電できるタイプなら情報を受け取れます。避難情報は気象庁や市区町村の発表を優先し、ラジオはその補助として考えてください。

背負って運べる、軽めの持ち出し袋

軽量の防災リュック(持ち出し袋)

背負うタイプは両手が空きますが、中身が重すぎると避難そのものが難しくなります。空の状態の重さと、背負ったまま数分歩けるかを、購入前に確かめておくと安心です。

よくある質問

Q. 名簿に載っていなくても、避難の支援は受けられますか?

A. 名簿は支援者が事前に情報を持つための仕組みで、載っていない人が避難できなくなるわけではありません。ただ、事前に把握されていないと支援が遅れやすくなります。自治体の窓口に相談し、どうすれば登録できるかを確かめておくのが確実です。

Q. 同意の書類を出すと、個人情報が心配です。

A. 書類の内容は自治体によって異なります。平常時に誰へ、どこまでの情報を渡すのかを、書類に書かれた範囲で確認してください。分からない点は、提出前に窓口へ聞くことをおすすめします。

Q. 持ち物は、どこまで減らしてよいのでしょうか?

A. 薬と連絡手段、そして水と明かりを優先すると考えると判断しやすくなります。服や寝具は避難所で手に入ることもあるため、重さを優先して選んでください。自治体の避難所の案内も合わせて確認しておくと安心です。

まとめ:今日からできる3つのアクション

1
今週中に 住んでいる市区町村の防災担当課に、名簿の対象該当性・登録状況・平常時の情報提供への同意手続きを確かめる

電話で聞くときは、「退職して一人暮らしになり、家族が遠方にいる」と伝えると、対象かどうかや同意の手続きを案内してもらいやすくなります。

2
今週中に お薬手帳の写しと、書き換えた緊急連絡先のメモを、玄関か財布に入れる

退職で勤務先経由の連絡先が使えなくなっていれば、家族・近所の人・かかりつけ医の番号に差し替えます。夜に慌てて探さなくて済むように、場所を一か所に決めておきます。

3
今月中に 持ち出し袋を背負って、玄関から避難先の入口まで歩いてみる

かかった時間と疲れた場所をメモしておくと、どこで休むかや、中身を減らすかどうかの判断に使えます。

この記事は、公開されている自治体資料などをもとにした一般的な整理です。個々の家庭に合う避難の方法を保証するものではありません。避難の判断は、気象庁や市町村が発表する最新の情報を優先してください。

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この記事について

この記事を書いた人: 備えガイド運営事務局

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