最終更新日: 2026年9月27日
大雨のたびに、道路の冠水による車の水没事故のニュースが後を絶ちません。特にアンダーパス(掘り下げ式の立体交差)は、全国に約3,841か所あるとされ、構造上、水が集中しやすい危険な場所です。JAFの走行実験データをもとに、冠水路の危険性と車内に備えるべきグッズを整理しました。
この記事の内容が自分の地域にどこまで当てはまるかは、ハザードマップ検索で住所を入力すると具体的に確認できます。
なぜアンダーパスは危険なのか
アンダーパスは、鉄道や他の道路の下をくぐるように一段低く作られた立体交差の道路です。国土交通省によると、全国に約3,841か所あるとされています。すり鉢状の構造になっているため、大雨が降ると周辺の雨水が集中して急速に水位が上がりやすく、道路冠水による死亡事故が最も多く発生する場所とされています。夜間や視界の悪い状況では水面しか見えず、実際の水深が分かりにくいという専門家の指摘もあります。近年の大雨報道でも、アンダーパスでの車両水没による死亡事故が繰り返し報告されています。
国土交通省のデータによると、過去20年間でアンダーパスの水没事故により全国で20名以上が亡くなっていると言われています。都道府県別に見ると、アンダーパスの設置箇所数は埼玉県(約270か所)、新潟県(約231か所)、兵庫県(約188か所)など、関東・関西の都市部に多く分布しています。お住まいの地域や通勤・通学路にアンダーパスがないか、平常時に確認しておくことが、いざというときの回避行動につながります。大雨・洪水全般への備えは台風・大雨・洪水への備えと対応ガイドにまとめています。
JAFの走行実験で分かったこと
| 水深 | 速度 | 結果 |
|---|---|---|
| 30cm | 時速10km | フロントグリルから水が入ることはなかった |
| 30cm | 時速30km | 巻き上げた水がエンジンルームに大量進入 |
| 60cm | 時速10km | セダンは走破できず、31m地点でエンジン停止(SUVは走破) |
| 60cm | 時速30km | フロントガラス下端まで水没、わずか10mでエンジン停止 |
| 脱出用 ハンマー ベルトカッター | ― | 1,000円台〜 |
| 車載 ライフジャケット | ― | 3,000円台〜 |
出典: JAF「冠水路走行テスト」(ユーザーテスト)
水深60cmで「ドアが開かなくなる」
JAFの実験では、水深60cm程度で車外の水圧によりドアが開かなくなることが確認されています。窓が電動の場合、水没によって窓の開閉ができなくなることもあります。車内に閉じ込められる前に、早めに車を止めて避難することが重要です。エンジンが停止する原因の多くは、エアインテーク(空気の取り入れ口)を通してエンジン内部に水が入ることによるものと考えられています。
EV・HV車は水に強い?
「EVやHVはマフラーがないから水に強い」と言われることがありますが、これは誤解を招く表現です。マフラーからの浸水でエンジンが停止することはありませんが、EVやHVの床下には高電圧バッテリーや電子機器が敷き詰められており、水が内部に侵入すると安全装置が作動してシステムが自動的に停止することがあります。一度停止すると、ガソリン車より復旧が難しくなるケースが多いと考えられています。また、台風などによる高潮で海水に浸かった場合、海水は電気を通しやすいため電気系統のショートや車両火災につながる可能性もあります。水が引いた後でも、海水による電気系統の腐食が進み、自然発火することもあるため、浸水した車は自分でエンジンをかけず、専門家に相談することが重要です。
冠水路に遭遇したときの行動
① 少しでも冠水していたら進入しない
「前の車が通れたから」という判断は危険です。濁った水の中は実際の深さが外から分かりません。ハザードランプを点けて安全な場所に引き返すか、迂回ルートを選んでください。
② 万が一水没した場合は車内に留まらない
ドアが水圧で開かなくなった場合は、窓を割って脱出する必要があります。水位が上がる前、できるだけ早い段階で行動することが欠かせません。
③ 水が引いてもすぐにエンジンをかけない
一度でも浸水した車両は、自分でエンジンをかけようとせず、JAFや販売店、整備工場に相談してください。
緊急脱出ハンマーの種類
ドアが開かず窓の電動操作もできなくなった場合に備え、車内には緊急脱出用のグッズを常備しておくことが推奨されています。緊急脱出ハンマーには主に3つのタイプがあります。
金づちタイプ
最も販売数が多い定番タイプで、突起の付いた先端で窓の隅を叩いて割ります。見た目から使い方が分かりやすく、不特定多数の人が乗る車におすすめです。比較的リーズナブルな製品が多い傾向があります。
ピックタイプ
アイスピックのような先端を突き刺すように使うタイプで、コンパクトな製品が多く、シートベルトカッターやLEDライトなど多機能なものも豊富です。
ポンチタイプ
スイッチを押すだけで内蔵された金属が飛び出し窓を粉砕するタイプです。力が一切不要なため、女性や子ども、高齢者でも安心して使用できます。
こんな人は、まだ買わなくてもOK
- 水の備蓄がまだできていない
- 携帯トイレの備蓄がまだできていない
- 防災リュックの中身が整っていない
- 集合住宅で保管場所を確保しづらい
こんな人は検討していい
- 在宅避難を想定している
- 停電時も冷蔵庫を維持したい
- 医療機器など電源が必要な機器がある
おすすめ製品
ここからは、備えガイド編集部が公開情報をもとに選んだ商品です。編集部が実際に購入・使用したレビューではありません。
Amazonベーシック 緊急脱出ハンマーの購入者評価を見る(良い2・気になる1)
レビュー確認日: 2026年9月15日時点(複数のレビューサイト・購入者の声を基に当サイトで要約)
良いという声
- 2個セットで価格が安く、車内と家族の分をまとめて備えられるとコスパを評価する声がある
- 先端が鋭く尖っており、ガラス割りに特化した作りになっているという感想がある
気になるという声
- 合わせガラスには使用できない仕様のため、対応する窓の種類を確認してから使う必要があるという指摘
カクセー DASH IIIの購入者評価を見る(良い2・気になる1)
レビュー確認日: 2026年9月15日時点(複数のレビューサイト・購入者の声を基に当サイトで要約)
良いという声
- 手回し発電式でLEDライトが点灯するため電池切れの心配がなく、「防災用として安心を買った」と捉える購入者が多い
- 本体は約153×80×32mm・約135gとコンパクトで、車内に常備しやすいという評価がある
気になるという声
- 収納用のケースが付属しないため、そのまま車内に置くと傷や紛失が気になるという声がある
よくある質問
どのくらいの水深から危険ですか?
JAFの実験では、水深30cmでも速度によってはエンジンルームに水が入ることが確認されています。一般的に、乗用車が走行可能とされる水深は「ドアの下端が浸からない程度」とされており、それ以上の冠水は危険と考えるべきです。
冠水した道路かどうか、どう見分ければよいですか?
夜間や雨天時は特に、水面と道路の境目が分かりにくくなります。道路が光って見えたり、水たまりのように見える場所は、実際にはアンダーパスなどの低い場所で水位が高くなっている可能性があります。少しでも疑わしい場合は進入しないことが基本です。
保険で車の水没は補償されますか?
車両保険(一般型)に加入していれば、水没による損害が補償の対象になる場合があります。契約内容によって異なるため、加入している保険会社に確認することをおすすめします。
緊急脱出ハンマーはどこに設置すればよいですか?
運転席・助手席から手が届きやすい場所(ドアポケットやセンターコンソール付近)に設置するのが一般的です。グローブボックスの奥にしまい込むと、緊急時にすぐ取り出せない可能性があるため注意しましょう。
合わせガラスのフロントガラスは緊急脱出ハンマーで割れますか?
多くの車のフロントガラスは、割れても粉々に飛散しない合わせガラス構造になっており、一般的な緊急脱出ハンマーでは割りにくいとみられています。脱出する際は、強化ガラスが使われていることが多いサイドガラス(側面の窓)を狙うのが基本です。
自宅・通勤経路にアンダーパスがあるか、どう調べられますか?
国土交通省や自治体の道路管理部署が、アンダーパス等の道路冠水想定箇所を公表していることがあります。加えて、普段の通行時にすり鉢状に低くなっている区間を意識しておくだけでも、大雨時の回避判断がしやすくなります。カーナビやハザードマップアプリの冠水想定箇所表示も活用しましょう。
まとめ:今日からできる3つのアクション
普段よく通るルートに、掘り下げ式のアンダーパスがないか確認しておきましょう。
ハンマー・カッター一体型の脱出用グッズを、すぐ手の届く場所に置いておきましょう。
大雨・台風が予想される日は、アンダーパスを避けたルートをあらかじめ検討しておきましょう。
参考にした情報源
- JAF「冠水路走行テスト(JAFユーザーテスト)」(2026年9月22日確認)
- JAF クルマ何でも質問箱「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
- 国土交通省(アンダーパス箇所数の公表資料)(2026年9月22日確認)
- マイベスト「車用緊急脱出ハンマーのおすすめ人気ランキング」
- CARPRIME「車用緊急脱出ハンマーのおすすめ21選」
- 各種報道機関による大雨関連の道路冠水事故報道(2026年8月〜9月)
- 国土交通省「道路の冠水対策」、総務省「道路冠水時における事故の防止対策に関する調査」(アンダーパスの死亡事故件数・都道府県別箇所数)
お住まいの地域によって、想定される災害や必要な備えは異なります。都道府県・市区町村別の防災情報を確認してみましょう。
地域別の防災情報を確認する →この記事について
この記事を書いた人: 備えガイド運営事務局
情報源: 気象庁・内閣府・消防庁・国土交通省・自治体などが公表している情報、および製品メーカー・販売元が公開している仕様情報をもとに作成しています。実数(公的データ・公式スペック)以外の統計・レビュー・体験談は創作していません。
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